月別アーカイブ: 2013年11月

Sue Banerjee先生が来日しました

先週、イギリスの認知症国家戦略の第一人者であるSube Banerjee先生が来日した際に、当院の取り組む「認知症初期集中支援」の経過について、院長である遠矢純一郎先生が報告をおこないました。Banerjee先生は英国のメモリーサービスという今回の認知症初期集中支援サービスのモデルをつくり、米国やオーストラリアなどの認知症国家施策にも関与する国際的に影響力のある方です。

今回のディスカッションはオレンジプランと呼ばれる日本の認知症の新しい国家施策も含めて、日本の現状報告と先生からの評価を頂くことが目的でした。私たちも全くゼロの状態から手探りで始めた初期集中支援であるため、現在の関わり方やアセスメント、プランの妥当性などについて、先行する英国の取り組みとの比較なども是非お聞きしたいところでした。人員体制や支援の仕組みなど一連の流れを説明し、代表的なケースを挙げて具体的に支援の状況をおはなししました。

Banerjee先生は最後までじっくり聴いてくださったあと、まずは一言「Excellent!(すばらしい)」と評価してくださいました。そして以下のようにコメントして下さいました。

—from Dr. Banerjee—
なにより、こうしてサービスが開始されたことが彼女(今回の支援対象者)に
とってはとても良いことだし、それによって彼女の行動も変化している。
ここに至るまでの放置された5年間はとてもひどいものだっただろう。
こういうストーリーがとても大事。今後の取り組みや広げようとするときに
関わる人たちに良い影響を及ぼすだろう。

認知症の方への支援においては、どうやって本人を関わらせるか、という
ことはとても難しいこと。このケースでも、最初は拒否されていたけど、
何度も何度もあきらめずに、その方へのアプローチを続けたことで
結果的にフルアセスメントや夜間のヘルパーの導入に至っている。
私はそれで良いのだと思う。最初から全部は無理なので、
少しずつ少しずつ、関係性を構築していくことが、良い成果へとつながるだろう。

このケースの3つのポイントを挙げたいと思う。
その1)時間はかかったが、きちんと診断につながったこと。
これはとても重要なこと。
その2)家族に対して、今後の症状や予後についてちゃんと
説明していること。これによって後見人などその後の方向性が
導かれた。こういうadvanced care planをしっかりおさえる
ことが大事。とにかく当事者にそのための情報を与えること。
その3)どうやって初期の対象者をみつけるか。これはGPという
役割の居ない日本においては、正直どうしたらいいのかわからない。
救急外来などでそういう方が来院したらフラグを立てるとか?
あと大事なことは、市民啓発の結果、家族がそういう認識を持ち、
気づいてあげることが重要。

早期発見はもちろん大事だが、その後をどうするか。初期だけ関わる
というチームは、それはそれで必要だし、それで良いと私は考えるが、
その後をフォローしたり、急性期などに対応出来る仕組みも必要。
しかしそれはまだ先のこととして、まずはこの初期支援を充実させて
いくと言う方策はアリだと思う。
これから初期集中支援チームは、どういうペースで広げていくの?

>今年14、来年20、再来年には全国4000カ所の地域包括支援センターに配備する予定。by 粟田先生

4000だって?! それは20カ所からいきなり開きがありすぎる。
イギリスには70(聞き間違いかも?)の初期集中支援チームがある。
こういう専門チームは、数人程度の小規模が良い。そうでなければ
他の地域で同じものを作れなくなるから。小さいチームでやって、
それを2番目に伝え、3番目に伝え、、、していくうちに、広げ方がわかる。
人材育成?精神保健専門看護師(精神科外来などに居る?)など、
すでに精神科疾患への下地があるような職種やスペシャリスト、つまり
「もう少し学べば、認知症対応も出来る」くらいの職能の方を使えば良いだろう。

国際的にも注目されている英国の認知症ケアに照らし合わせて、私たちの取り組みをきちんと評価して下さったことを嬉しく思いました。一方で、日本はいまだに精神科病棟が35万床もあり、認知症の方が入院となるケースが増えていることや、認知症の診断の多くが専門医によるMRIなどの高度検査をルーチンとしている現状に対して、「それはとてもコストのかかるやり方だ。限りある財源のなかで、どこにそれを振り分けるかを考えるべきだ。」とも訴えておられました。

今後も認知症政策に関する話題を取り上げていきたいと思います。

Banerjee先生picture1

Banerjee先生picture2


「認知症初期集中支援チームの取り組み」について講演しました

せたがや福祉100人委員会「最後まで在宅」部会主催の公開学習会で、「認知症でも最期まで地域で暮らす」というテーマのもと、当院の作業療法士である村島さんが講演してきました。
初期支援といっても、性格や人生が人それぞれあるように、支援の内容も対象の方に合わせて少しずつ変えなければいけません。実はそこが一番難しいところ。
今年度のモデル事業(認知症初期集中支援)もまだまだ続いていきますので、より良い支援ができるよう、頑張っていきたいと思います。


田實先生による緩和ケア(オピオイド編)勉強会

桜新町アーバンクリニックの院内勉強会として、田實先生に緩和ケア(オピオイド編)のお話をしていただきました。
以下より、当日の動画を是非ご覧ください。

◆2013/11/20 在宅医療とホスピス緩和ケア ~オピオイド編~ (田實先生)

 


遠矢チームと恋するフォーチュンクッキー

忘年会の余興で「恋するフォーチュンクッキー」を踊ることになりました。
当院のパート(歌詞)は以下の15秒です。

(48秒~1分3秒)
「まわりを見れば大勢の 可愛いコたちがいるんだもん
地味な花は気づいてくれない Yeah! Yeah! Yeah!」


英国GP(General Practitioner)である澤憲明先生によるセミナーが開催されました

家庭医療の本場英国で日本人初・唯一のGP(General Practitioner)である澤憲明先生にお越しいただいてセミナーが開催されました。英国におけるGPの役割、日本と英国の医療制度の違いを現場の生々しいお話も交えてお話いただきました。非常に面白い内容でしたので、簡単に内容を記載させていただきます。

セミナーのなかで取り上げられたことは、大きく2点です。
1点目は英国の医療制度と各国の医療制度との国際比較です。
例えば、日本と英国では医療制度が「公的な」色合いを強める点で類似しているのに対して、かかりつけ機関へのアクセスの良否で相違があります(言わずとも、英国は日本よりもアクセスが良いです)。
国際的に比較しても、英国は他国よりも地域医療を重視しインフラを整備することで患者満足度を高めていることがわかりました。具体的に言うと、診療所へのアクセスの良さ、医療費負担の軽減、安全性などの面で92%の患者が医療サービス全体に満足を得ていることが説明されました。

2点目は英国のプライマリ・ケアとGPの役割です。
「プライマリ」とは「主要な/最も重要な」という意味であることからも、英国ではプライマリ・ケアが90%の健康問題に対応しており、その役割をGPが担うことになります。そのため、GPは身近な存在である必要があり、1:家の近くの、2:診療所で、3:誰でも無料で、4:外来・電話相談・在宅医療を利用出来る体制が整っていることがわかりました。地域を守り、患者の生活を支え、あらゆる問題に総合的に対応する医師がGPであり、GPにはジェネラリストとしての素質が必要とされることが説明されました。

GPは地域を守り、患者の生活を支える役割がありますが、GPだけではなく患者のニーズに応じた他のケア提供者(訪問看護師・ソーシャルワーカー・OP・PTなど)と連携していくことが大切です。
今後も本場英国の家庭医療を取り上げていきますので、是非ご期待下さい。

◆2013/11/19 英国のヘルスシステムとプライマリ・ケア (英国GP 澤憲明先生)
~地域基盤型のジェネラリストと多職種チームが果たす役割~

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澤先生1


長野県看護大学で講演しました

10月18日(金)に当院の片山看護師が長野県看護大学で「在宅における緩和ケア、認知症ケアの実践」という演題で講演をおこないました。
在宅ケアを考える上では緩和ケア及び認知症ケアの役割は大きな割合を占めます。
今回は、看護学部2年生と大学院修士課程の学生さんに対して講演をおこないましたが、どちらの講演も学生さんの将来への良いモチベーションになったようでした。

学生さんへの講演・セミナーは今後も続けていきます。