ナースケア・リビング世田谷中町

「DEMBASE 認知症ケアプログラム」を利用して事例検討を行いました。

2019/05/30 DEMBASE

今夜は東京都が進めている「DEMBASE 認知症ケアプログラム」を利用して、当院で在宅医療と訪問看護、看多機で関わっているケースの事例検討を行いました。

「認知症ケアプログラム」とは、関わる介護職への聴き取りにより 、その方のBPSD症状の有無や程度をNPIという評価尺度を用いてスコア化し、特に症状が強い部分を中心になぜそのような行動として表出されるのか、本人のストレスや辛さはどこから生じているのかに着いて議論し、具体的なケア計画をたてるというものです。DEMBASEというICTツールを用いて、症状とケア効果が見える化されるのが特徴。

初期集中支援に続き、次なる認知症の方の在宅生活をささえる施策として、今年から都内の複数の自治体事業所が取り組み始めています。当院でも2年前からこのプログラムに参画していますが、今回は当院が在宅医療と看多機で関わっている認知症の方ついて、2回目の検討会となりました。

OT村島のファシリテートのもと、その後のBPSD症状の変化と前回立てたケア計画の妥当性について語り合いました。中心となるのは、日々のケアを担っている介護スタッフたちによるアセスメントで、NPIスコアの項目をたどりながら、参加した訪看や在宅医からの情報も重ねて多面的に検証しつつ、DEMBASEに入力していきます。

介護スタッフらは、普段の関わりのなかで本人の行動や表情のちょっとした違いやその奥にある気持ちを感じとる力に長けていて、往診の短時間しかみていない自分には気づかされることがたくさんありました。複数の介護スタッフによる主観的な観察が集約され、DEMBASEにより客観的なグラフとして示されます。

介護スタッフにとって、自分たちのケアの結果がこんな風にデータ化されることは、仕事の自己評価につながるし、認知症の方の行動と周りの関わり方の関連が見えることで、画一的でない個別性の高いケアへの意識が高まるでしょう。家族や環境など生活背景も深く理解しているおかげで、様々なアイディアが出てくるのは、在宅というセッティングならではでしょう。

なにより、認知症のBPSD症状を本人の困りごとの表出としてとらえて、それを軽減解消するにはどのようなアプローチができるかを議論し続けるこのプロセスが、「不穏行動」と言われていたところからの大きな飛躍をもたらす可能性があります。私たちもまだまだ僕らもまだまだ模索している段階で、このシステムの効果は判りません。とてもシンプルだけど、感情的になりがちな認知症ケアの困難さを冷静に分析できるツールとして、引き続き活用してみようと思っています。

日本版BPSDケアプログラムとは(東京都福祉保健局)

日本版BPSDケアプログラム パンフレット(東京都医学総合研究所)

61267858_3916878474995749_5177345988838293504_n

61648820_3916878468329083_7893763832617631744_n