在宅医療部

看多機『ナースケア・リビング』に込めた思い ~生活リハビリ~

はじめまして。『ナースケア・リビング』開設準備室の村島です。私は、作業療法士としてこの開設準備室に関わっています。
今回は、この看多機で提供するケアの根幹となる「生活リハビリ」について少しお話します。

「リハビリ」という言葉を聞くと、どんなことをイメージされますか? 病院のリハビリ室で平行棒に捕まりながら歩く練習をしている、または松葉杖で歩く練習をしている・・・といった様子を思い浮かべるかもしれません。
たしかに、そのようなリハビリの方法もありますが、ご自宅には平行棒はありませんし、広く障害物のないリハビリ室はありません。ご自宅にあるのは、廊下に付いている手すりや絶妙な位置に置かれた家具、使い慣れた食器、介護保険で用意したベッドや手すりといったものばかりです。

在宅の「生活リハビリ」は、今生活しているその場にある道具や、ちょっとした動作の工夫をすることがポイントです。 また、リハビリ職と言われる理学療法士・作業療法士・言語聴覚士だけが行うことではありません。ご本人・ご家族・ケアにあたるスタッフ全てが生活を工夫して“生活しやすくしてみよう”と思うことから始まります。それが、「自律・自立」につながり、”やってみたいこと”の実現や、「自分らしさ」につながると考えています。

例えば、「自宅でのトイレ動作がスムーズに出来るように」と目標を立てた場合、セラピストが自宅のトイレの構造やご本人の動作を評価します。介護スタッフや看護師は広い看多機のトイレでまず練習をし、次に自宅のトイレで練習をします。では、トイレにスムーズに行けたら終わりなのでしょうか。 いえいえ!! トイレへスムーズに行けるようになれば、トイレを心配することや歩くことが改善され、結果的に外に出かけやすくなり、家族と一緒にデパートで外食出来るようになるかもしれません。
一つの動作や活動が、次に、次に・・・とつながっていきます。そうすることで、「自分らしさ」を取り戻したり、”やってみたいこと”が実現出来るのです。

私たちの『ナースケア・リビング』では、医療・介護スタッフが相談し、協力し合いながら、地域で生活されるご本人・ご家族が、どう工夫したら生活しやすくなるか、どうしたら「自分らしく」生活できるか・・・といったことを考えていきたいと思います。
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(作業療法士  村島久美子)