院長ブログ

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北海道庁主催 認知症初期集中支援のフォローアップ研修会

20200210 砂川市立病院の内海久美子先生からのお招きで、札幌での北海道庁主催の認知症初期集中支援のフォローアップ研修会に遠矢院長が参加いたしました。
北海道の各地で本事業に携わる様々な職種の方々が150名ほど集われました。

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認知症初期集中支援は、2018年に全国すべての自治体での実施が義務づけられ、各々の地域での取り組みが広がっていますが、当然ながら主体となる組織や持てる人的リソースも異なるため、事業の運用や活用度合いもかなり違っています。

「どういう事例を扱うべきなのか」「初期というより、かなり進行した困難事例が多い」などの意見が多く聞かれました。北海道でも地域包括支援センターによる支援との役割分担などを模索されているようです。

前半は私から認知症初期集中支援の実践とそこから見えてきた課題についてお話させて頂きました。本事業は認知症の経過において「空白の期間」と言われる早期支援、診断後支援の欠落が生じている現状です。その重要な時期に可能な限りご本⼈の意向や価値を理解し、その後の生活や人生を希望あるものになるようにすることがそもそもの大切な目的です。そうした本来の初期集中⽀援が展開されれば、その後生じ得るBPSDへの予防をもたらし、危機対応や問題対応は減るでしょう。

しかし現状では、地域における唯一の認知症専門チームという認識のもと、認知症の進行による生活の破綻やBPSD症状が出現しているような困難事例に対して、初期集中支援チームに支援要請がなされていることが少なくありません。

このことは認知症の人と家族の会から出された「認知症の人も家族も安心して暮らせるための要望書(2019年版)」でも指摘されていることです。

そのように講演でお伝えしたあと、質疑応答で真っ先に出たのは、「そうは言っても、うちの地域には専門職も少なく、認知症専門チームをいくつも作ることは出来ない」という意見でした。確かにそれが現実なのでしょうう。世田谷でもさほど状況は変わりません。しかし、ならばなおさら、ささえる人たちが初期支援の意味やその重要さをしっかり再認識して取り組む必要があると感じました。

後半の事例検討では、2つの地域から非常に複雑な要素を持つ困難事例が示されたが、様々な機関やサービスと連携しながら、丁寧に支援し続け、問題解決を図るプロセスが素晴らしかったです。すでにかなりのケースを経験しておられるようで、こうしたチームが地域にあることの頼もしさを感じました。

こうしてそれぞれの地域での認知症ケアへの実践が高まっていくことでしょう。今後さらに増えていく見込みの認知症に対して、今一度この「初期集中支援」の意味と目的を考える必要があると考えています。

遠矢純一郎
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多職種連携を支えるマインドと仕組み ー世田谷区の取り組みー

20200130 秋山正子さまからのお招きで、新宿区介護サービス事業者協議会にて「多職種連携を支えるマインドと仕組み ー世田谷区の取り組みー」というテーマで遠矢院長が講演をしました。
平日午後にもかかわらず、ケアマネさんや介護事業に携わる100名近い方々が集われました。

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秋山さんからの「介護事業者の方々が元気になるようなお話を」という、かつてないお題に苦しみましたが、当院のスタッフは院内外の多職種との協働において、より機能的なチームワークの向上を目指して積極的な取り組みを行っており、その実践をまとめつつ、在宅医療におけるチームビルディングについて考えてみました。

前半は院内の様々なプロジェクトを紹介しつつ、それが生み出された背景や仕掛けを考察しました。
時の流れとともに変化していくチームにおいても、常に理念やミッションを共有し、仕事への情熱と自分たちらしさ、己のモチベーションと互いをリスペクトしながら協働する関係性を維持していくには、組織として錆びないための努力を怠ってはなりません。

後半は世田谷区や地域の連携先と共に取り組んでいる認知症初期集中支援やBPSDケアプログラム、認知症在宅生活サポートセンターなどの事業について、その実際をお伝えしました。
これらに共通するのは、ケアの持つ力がその人らしくあることや尊厳をささえ、強みを引き出し、認知症になっても希望を持てる社会を作っていこうという基本理念です。

なかでもBPSDケアプログラムは、認知症の方の行動心理症状に対して、症状をスコア化(見える化)した上で、関わる介護職の方々の観察や実践を振り返りながら、ご本人が感じているストレスを慮り、それを緩和するためのケアを考え、試行していくというものです。安易に薬に頼らず、可能な限りケアの持つ力で解決を図っていく。東京都が開発し、普及を進めているこのツールを活用することで、介護にアセスメントする視点と面白さを持てるようになるだろうと考えています。

認知症の方たちの笑顔やその人らしさを引き出し、そんなことができるの?!という驚きと感動を自分に見せてくださるのは、いつも一番近くで身体と心に寄り添っておられる介護職の力によるものです。介護という仕事は、もっと尊敬されるべきだし、そこに誇りと自信の持てる社会であるべきと心から思います。

遠矢純一郎
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日本看護学会 慢性期看護学術大会

20191114-15 日本看護学会 慢性期看護学術大会にて遠矢院長が登壇をしました。
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日本看護学会-慢性期看護学術大会、ICT活用をテーマに在宅医療や地域看護のフィールドで活動なさっている看護師さん達のお話に刺激を受けました。

福岡から見守りロボット「おるけん」の青木比登美さん、加計呂麻島で保健師兼診療看護師をなさっている中村幸代さんともに登壇をしました。
お二人とも地域で暮らす方々や遠くで心配している家族の不安を減らすために取り組まれており、看護の世界を拡げていくパワフルさが頼もしく、コミュニケーションや地域丸ごとでささえていくためのツールとしてのICTの使い方がユニークでした。
私からは、地域連携システムや在宅緩和ケアパス、認知症BPSDケアプラグラムなど、地域の多職種チームケアを統合する取り組みについてお話させて頂きました。
座長の宇都由美子先生とは、私が鹿児島大学三内科時代からのつながりを頂いていて、大学の医療情報や経営マネジメントの第一線で活躍なさっておられます。

鹿児島での開催であったため、かつて一緒に仕事していた看護師さん達もたくさん来られていて、20年ぶりくらいに再開できたことも嬉しかったです。急性期病院の激務の中で共にたたかった戦友のような仲間たち。みんなそれぞれの場所で頑張っておられるようで、昔と少しも変わらないのが嬉しかったです。
またぜひお会いしたいものです。

遠矢純一郎
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日本看護学会 慢性期看護学術大会1


スウェーデン大使館で開催された認知症セミナーにて講演させていただきました

2019/11/07 スウェーデン大使館で開催された認知症セミナーにて、講演させていただきました。大使館内にある木造のアーチ型講堂は、コンパクトながら100席を有するという機能性も備えています。平日の日中にも関わらず、満席となった会場にはおなじみのお顔もあり、おかげでちょっと緊張が和らぎました。

今回の私のテーマは「認知症と生きる希望」。私とスウェーデンとのつながりであるカロリンスカ研究所の認知症ケア修士課程で学んだこと、その後在宅医療や地域ケアの中で関わらせて頂いている様々な認知症への取り組み(認知症初期集中支援やBPSDケアプログラム、認知症に優しいデザインや認知症在宅生活サポートセンターなど)について、この数年間の活動を自分なりに振り返りつつ、認知症をとりまく日本と世界の今をまとめてみました。

こうしてみると、この4-5年の間にも日本ではオレンジプランや認知症カフェなど様々な施策や取り組みが始まり、JDWGなど当事者活動を中心とした動きも活発化しています。その勢いは世界からも注目されています。一方でまだまだ施設や病院、一般市民の認識など様々な場でその波が届いていないところも多く、ギャップが大きくなっている印象もあります。

今回認知症に関わる様々な現場を持つ方々がご参加されており、ご意見や課題について聴かせてくださいました。こういう場で意見交換しながら、互いの知見を共有しあい深め合うことで、進化の速度を上げていかねばならなりません。ローカルを突き詰めるとやがてグローバルに通じていくというのが、まさにカロリンスカで学んだことでした。今後もこうした活動を続けていこうと思います。
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191026「第16回世田谷高齢者のつどい」

20191026 「第16回世田谷高齢者のつどい」にて「認知症とともに生きる希望」というテーマで遠矢院長が講演をしました。
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参加された100名近い方はほとんどが高齢者でした。前回の参加者アンケートで最も関心が高かったのが認知症のことだったとのこと。

そこから認知症についての意見交換が行なわれ、実行委員の方々には「認知症になるかもしれない・認知症になりたくない」いう不安、「認知症になった家族・友人をどう支えればよいのか」という気持ちの一方で、「認知症になったら分からなくなる、おしまいだ」という気持ちも見られたそうです。現状では、認知症に対するイメージや認識はそういうものなのでしょう。

「ぼけ」「痴呆」と呼ばれていたのが、2005年に「認知症」という「病名」になり、同じ頃に認知症の薬が発売になったりしたことで、認知症は医療で治療するもの、という印象が強くなっている様に思います。多くの方が、病気なので予防したいと思いうし、なんとか治療法を探そうとする。BPSD症状も病気の悪化と捉えて「薬でなんとかしてくれ」と言われる方もいらっしゃいます。実際には医療が介入するほどに、その人らしさが損なわれたり、誰のための治療なのかわからなくなっていくことが多くなります。
まずはそうした認識を改めて、本人の不安やストレスを慮り、たとえ認知症になっていろいろ判らないことが増えていっても、その人らしく生きていくことをささえていけるような家族や地域、社会であるような認識や理解を広めていくこと、すでに全国やここ世田谷でも様々な取り組みや活動が盛んに始まっていること、長生きするほどに誰もが認知症になりうるという認識の上で、各々の立場で認知症でもだいじょうぶな社会であるにはどうすればよいかを考えていきましょうとお話をしました。

講演後にはたくさんのご質問を頂きました。個人的な認知症家族への関わり方の相談や認知症の検査、介護保険などの制度や利用のことなど。補聴器のことや「難聴にならないようにするにはどうすれば良いか?」など、聴覚や薬についての質問も多かったのは、講演の中で「難聴であることやポリファーマシーの状態は認知症のリスクとなる。」とお話したためだと思いました。やはり一般の方の関心は「認知症にならないようにするには」ということなのでしょう。一方で身近に認知症の方がおられるという方も多く、皆さん我が事として真剣に認知症のことを考えているご様子でした。今後も繰り返しこうした活動を続けていきたいと思います。

遠矢純一郎
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「DEMBASE 認知症ケアプログラム」を利用して事例検討を行いました。

2019/05/30 DEMBASE

今夜は東京都が進めている「DEMBASE 認知症ケアプログラム」を利用して、当院で在宅医療と訪問看護、看多機で関わっているケースの事例検討を行いました。

「認知症ケアプログラム」とは、関わる介護職への聴き取りにより 、その方のBPSD症状の有無や程度をNPIという評価尺度を用いてスコア化し、特に症状が強い部分を中心になぜそのような行動として表出されるのか、本人のストレスや辛さはどこから生じているのかに着いて議論し、具体的なケア計画をたてるというものです。DEMBASEというICTツールを用いて、症状とケア効果が見える化されるのが特徴。

初期集中支援に続き、次なる認知症の方の在宅生活をささえる施策として、今年から都内の複数の自治体事業所が取り組み始めています。当院でも2年前からこのプログラムに参画していますが、今回は当院が在宅医療と看多機で関わっている認知症の方ついて、2回目の検討会となりました。

OT村島のファシリテートのもと、その後のBPSD症状の変化と前回立てたケア計画の妥当性について語り合いました。中心となるのは、日々のケアを担っている介護スタッフたちによるアセスメントで、NPIスコアの項目をたどりながら、参加した訪看や在宅医からの情報も重ねて多面的に検証しつつ、DEMBASEに入力していきます。

介護スタッフらは、普段の関わりのなかで本人の行動や表情のちょっとした違いやその奥にある気持ちを感じとる力に長けていて、往診の短時間しかみていない自分には気づかされることがたくさんありました。複数の介護スタッフによる主観的な観察が集約され、DEMBASEにより客観的なグラフとして示されます。

介護スタッフにとって、自分たちのケアの結果がこんな風にデータ化されることは、仕事の自己評価につながるし、認知症の方の行動と周りの関わり方の関連が見えることで、画一的でない個別性の高いケアへの意識が高まるでしょう。家族や環境など生活背景も深く理解しているおかげで、様々なアイディアが出てくるのは、在宅というセッティングならではでしょう。

なにより、認知症のBPSD症状を本人の困りごとの表出としてとらえて、それを軽減解消するにはどのようなアプローチができるかを議論し続けるこのプロセスが、「不穏行動」と言われていたところからの大きな飛躍をもたらす可能性があります。私たちもまだまだ僕らもまだまだ模索している段階で、このシステムの効果は判りません。とてもシンプルだけど、感情的になりがちな認知症ケアの困難さを冷静に分析できるツールとして、引き続き活用してみようと思っています。

日本版BPSDケアプログラムとは(東京都福祉保健局)

日本版BPSDケアプログラム パンフレット(東京都医学総合研究所)

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オランダからの視察団14名が来院されました。

2019/04/13 今日はオランダからの視察団14名が来院されました。病院関係者やマイクロソフトなどICT関連等の方々で、日本における医療へのICT活用を視察に来られたそうです。

遠矢医師からは在宅医療の実際と現場の診療やケア、連携をささえるICTシステムやモバイル化された医療機器、センサーやビデオによる遠隔モニタリング、ロボットなどの現状をお話させて頂いた。

今回病院関係者が多かったこともあり、たくさんの質問やディスカッションが広がりました。「日本はなぜ少子化が続くのか」「死亡場所は施設にも広がっていくのか」といった全般的な社会や制度のことから、地域連携システムと病院やクリニックの電子カルテシステムとの接続の有無や今後それらが統一される将来的な可能性などに特に興味を持っておられたようです。オランダも診療情報の一元化を目指して規格は作られているが、それぞれの電子カルテメーカーの囲い込みもあり、なかなか普及していないということでした。

あっという間の2時間半でしたが、自分たちの現状を振り返る時間にもなり、貴重な機会を頂いたことに感謝したい。次はオランダでまたお会いしましょう。

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毎週水曜におこなっている緩和ケアカンファレンスの一コマ

2019/03/14 昨年から毎週水曜におこなっている緩和ケアカンファレンス、今回の事例は「本人が望まない胃瘻を、ご家族が強く希望している」というケースでした。

詳細はここでは紹介できませんが、臨床倫理の4分割法により課題を整理しながら、本人、家族、医療、QOLについて考えていきました。本人のケアに関わっている看多機の介護スタッフや看護師、ケアマネ、リハビリ、栄養士などを含めた多職種によるディスカッションにより、さらに本人や家族への理解が深まっていきます。
今回はゲストとして、ジャーナリストの浅川澄一さんにもご参加頂きました。浅川さんからは、より当事者に近い立場として「なにより本人の死生観について、どんな風に死んでいきたいかを、本人としっかり聞き出すべき。家族の意見などに左右されるべきではない」とのコメントをいただきました。

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地域包括支援センターの勉強会「介護と医療、お金の困り事」。

2019/03/14 今夜は地元の地域包括支援センターの定例勉強会、本日のテーマは「介護と医療、お金の困り事」。参加された多職種の方々から、お金にまつわる「あるある」「びっくり!」など様々な経験談がワールドカフェ形式で語られました。年々増えている独身息子介護と親の年金の問題、利用料や診療費の未払いや経済的な理由での介護拒否など、本人への生活支援だけでは済まない地域の社会課題は、医療や介護の専門家だけでは解決できないことがたくさんあります。お金の話は、その方への支援を考える上では欠かせないことですが、一方でかなりプライベートなことでもあるので、正確な懐具合を聞き出しにくいと言う難しさもあるようでした。後半は社協や行政の担当者による成年後見人制度や生活保護についてのお話があり、改めて「自分たちで抱え込まず、まずは担当部署に相談してみること」の大切さを感じました。
地域包括支援センターの皆さん、今回も素晴らしい企画をありがとうございました。

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小泉進次郎議員が当院在宅医療部に見学にこられました。

2019/02/28 今日は小泉進次郎議員が当院在宅医療部に見学にこられました。往診バッグの中身に始まり、在宅医療における様々な課題とタスクシフティング、これからの地域薬局のあり方、在宅クリニックにおける薬剤師の役割など、短い時間ではありましたがとても濃密な議論となりました。

進次郎氏は、世の中をより良くしていく変えていくという誠実で革新的な情熱に溢れていて、傍に居るだけで包み込むような優しいエネルギーが感じられる方でした。スポンジのようにぎゅーっといろんなことを吸収していかれたので、鉄は熱いうちに打て、早々に今日の議論をチャートにまとめてお送りしようと思います。

小泉進次郎議員のホームページとFacebookに紹介していただきました。
 → ホームページ
 → Facebook


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