院長ブログ

多職種連携を支えるマインドと仕組み ー世田谷区の取り組みー

20200130 秋山正子さまからのお招きで、新宿区介護サービス事業者協議会にて「多職種連携を支えるマインドと仕組み ー世田谷区の取り組みー」というテーマで遠矢院長が講演をしました。
平日午後にもかかわらず、ケアマネさんや介護事業に携わる100名近い方々が集われました。

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秋山さんからの「介護事業者の方々が元気になるようなお話を」という、かつてないお題に苦しみましたが、当院のスタッフは院内外の多職種との協働において、より機能的なチームワークの向上を目指して積極的な取り組みを行っており、その実践をまとめつつ、在宅医療におけるチームビルディングについて考えてみました。

前半は院内の様々なプロジェクトを紹介しつつ、それが生み出された背景や仕掛けを考察しました。
時の流れとともに変化していくチームにおいても、常に理念やミッションを共有し、仕事への情熱と自分たちらしさ、己のモチベーションと互いをリスペクトしながら協働する関係性を維持していくには、組織として錆びないための努力を怠ってはなりません。

後半は世田谷区や地域の連携先と共に取り組んでいる認知症初期集中支援やBPSDケアプログラム、認知症在宅生活サポートセンターなどの事業について、その実際をお伝えしました。
これらに共通するのは、ケアの持つ力がその人らしくあることや尊厳をささえ、強みを引き出し、認知症になっても希望を持てる社会を作っていこうという基本理念です。

なかでもBPSDケアプログラムは、認知症の方の行動心理症状に対して、症状をスコア化(見える化)した上で、関わる介護職の方々の観察や実践を振り返りながら、ご本人が感じているストレスを慮り、それを緩和するためのケアを考え、試行していくというものです。安易に薬に頼らず、可能な限りケアの持つ力で解決を図っていく。東京都が開発し、普及を進めているこのツールを活用することで、介護にアセスメントする視点と面白さを持てるようになるだろうと考えています。

認知症の方たちの笑顔やその人らしさを引き出し、そんなことができるの?!という驚きと感動を自分に見せてくださるのは、いつも一番近くで身体と心に寄り添っておられる介護職の力によるものです。介護という仕事は、もっと尊敬されるべきだし、そこに誇りと自信の持てる社会であるべきと心から思います。

遠矢純一郎
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