アーバン日誌
レスリー・パーマー教授を迎えて
院長ブログ 2024年10月31日
「認知症にやさしいデザイン ~認知症の方がよりよく快適な暮らしができるデザインの考え方~ 」と題し、英国スターリング大学 環境・認知症・高齢者センター教授および認知症サービス開発センター(DSDC)長である、レスリー・パーマー氏を迎えて、講演会を開催した。
スターリング大学認知症開発デザインセンター(DSDC)は、認知症の人が、デザインによって、自分の身の回りの環境を即座に理解でき、持っている能力を引き出せることを30年以上にわたり研究している機関。
認知機能の変化にともなうざまざまなストレスを軽減し、より快適に暮らせるようにするための環境設計は、多くの研究により得られたもの。コントラストをつけた分かりやすい表示や読みやすいサインの設置、床や壁紙への配慮、照明や外光の取り入れ、屋外とのシームレス接続などの具体例の紹介があった。また、建築環境が利用者の行動や健康に与える影響を研究し、認知症に優しいまちづくりや製品開発も行っている、とのことだった。これらのデザインは、認知症の人々の自立を促し、生活の質を向上させることを目指している。さらには、環境デザインを通じて、周囲の人びとが認知症に対してポジティブなイメージを持つことも促進される、という。
後半は、当法人の看護小規模多機能型居宅介護であるナースケア・リビング世田谷中町の屋内環境にレスリー氏のデザイン理論を採用したことや、それにより生じた利用者および介護者の行動の変化について、スタッフから報告した。
認知症の方がよりよく快適な暮らしができるデザインの考え方が拡がることで、社会のバリアが減り、ストレスの少ない環境になっていくだろう。