わたしたちの
医療・ケアのかたち

院長からのごあいさつ
未来の医療・ケアを、地域と共につくっていく
こんにちは。桜新町アーバンクリニック院長の遠矢純一郎です。
私たちのクリニックは、2009年に私が院長に就任して以来、「家庭医療」と「在宅医療」を診療の中心に据え、地域の中で人の暮らしと人生に寄り添う医療の形を模索しながら歩んできました。
病気を診るだけでなく、その人の生き方や価値観、家族との関係、暮らしぶりにも目を向けて、医療や介護の専門職がチームとなって支える。たとえ病気や障がいを抱えていても、自分らしい生活をできる限り続けられるように――それが、私たちの目指す医療です。
高齢化が進むこれからの日本では、病院は入院患者であふれ、救急車の対応もますます困難になると予測されています。特に東京では、高齢者の数が今後さらに増え、2050年には現在より約100万人も多くなるとされています。
高齢になるほど病気や薬が増え、入院の機会も多くなりますが、入院すること自体が高齢者の体に負担をかける場合があることも、最近はよく知られるようになってきました。例えば、軽い肺炎で入院した方が、数日間の安静で歩けなくなり、食事も取れなくなって、元の生活に戻れなくなる……そんなケースも珍しくありません。
こうした時代には、病気だけを治そうとする医療から、「その人の全体を支える医療」へと発想を変えていく必要があります。身体の状態だけでなく、その人のこころ、生活環境、大切にしていること、人生の質(QOL)や尊厳、死生観まで含めて、総合的に考える医療が求められています。
その中心となるのが「かかりつけ医」、そして「家庭医療」です。私たちは、ご本人だけでなくご家族も含め、健康や病気、生活上のさまざまな問題について一緒に考え、支えていく「家庭医療」を実践しています。通院が難しくなった時には、ご自宅や施設への訪問診療(在宅医療)に切り替え、人生の最期まで伴走する体制も整えています。
私たちの取り組みは、診療にとどまりません。コロナ禍における在宅療養の支援をはじめ、認知症の方とご家族を支える「認知症在宅生活サポートセンター」、地域の人が気軽に集える「ちいき食堂」、ご遺族が語り合える「こかげカフェ」、認知症当事者によるピアサポート、医療と介護を一体的に提供する「ナースケア・リビング世田谷中町(看護小規模多機能型居宅介護)」など、地域の中で幅広い活動を行っています。
ときに、薬や医療以上に、地域のつながりや寄り添うまなざしが、病や不安を和らげる力になることもあります。私たちは、地域にいる多職種の専門家や、コミュニティの力と手を取り合いながら、その人にとって本当に役立つ支援を届けたいと願っています。
これからの医療・介護には、これまでの枠を越える「創造」と「協働」が必要です。私たちは、「いま、この地域に本当に必要なことは何か」を問い続けながら、地域の皆さまと共に、未来の医療を形にしていきたいと考えています。
安心して立ち寄れる、信頼できる場所でありたい。そして、人生のどんな場面にもそっと寄り添える存在でありたい。その想いを胸に、これからも歩みを進めてまいります。
どうぞ今後ともよろしくお願いいたします。
桜新町アーバンクリニック
院長 遠矢 純一郎

外来部長からのごあいさつ
気軽に相談できる
桜新町の“かかりつけ医”を目指して
こんにちは。桜新町アーバンクリニック 外来診療部長の田中啓広です。
ここ桜新町には長く住んでいらっしゃる方も多く、外来での診療の中でもご家族のことや日常のことなどをお話しくださる方が多いのが印象的です。診療という枠を超えて、地域の家庭医として、人と人との関係性・つながりを大切にしながら、家庭医療の実践を行っています。
当院では次のような診療・予防医療の提供をしています。
地域の健康寿命を延ばすために、脳卒中・心臓病などの予防のための高血圧・糖尿病・脂質異常症(高脂血症)などの生活習慣病に力を入れており、健診で異常を指摘された方や、長くお薬を飲んでいるけれど体調や治療に不安のある方への継続的なサポートを行っています。症状のない時期からこまめに状態を確認し、変化があれば早めに対処することで、将来的な病気の悪化を防ぐことを目指しています。
日々の生活の質の維持・向上のためのアレルギー(花粉症・気管支喘息)や睡眠時無呼吸症候群、慢性閉塞性肺疾患(COPD)などの呼吸器疾患、認知症や心の不調(心療内科)といった幅広い症状・疾患にも対応しています。年齢や性別を問わず、「なんとなく調子が悪い」「最近ちょっと気になる症状がある」といったご相談も遠慮なくお話しください。
健康維持のために、自分の現状を把握するための健康診断、予防接種(水痘や麻疹、風疹といった子どもの定期予防接種から、大人の感染症予防の帯状疱疹、肺炎球菌、RSウィルスワクチンなど)も実施しています。
当院の特徴の一つは、外来だけでなく在宅医療やデイサービス、当院のグループ・グループ外を問わず訪問看護、看護小規模多機能(看多機)などと連携し、地域の中で切れ目のない医療とケアを提供していることです。体調や生活環境の変化に応じて、外来から在宅医療へ、あるいはデイサービスの活用など、患者さんとご家族にとって無理のないかたちで支援を継続できる体制を整えています。
高齢の方や持病をお持ちの方にとって、より安心して暮らせるようなサポート体制も整えている点も特徴です。
例えば、定期通院されている方のなかで一定の条件を満たす方には、かかりつけ患者さん向けの特別な制度をご案内しています。具体的には、担当の看護師がついて、生活・栄養・運動などの面談(希望に応じて)を行ったり、診療時間外を含めて24時間の電話での相談環境を用意しています。月1回の受診で検査や診察をまとめて行えるなど、医療的な安心感を重視される方にもご好評をいただいています。
時間外相談に関しては、夜間や休日に「こんなときどうしたらいい?」「救急にかかったほうがいいのか心配」といった不安が出てきたときも、普段の状態をよく知っているクリニックにすぐ相談できるというのは、大きな安心につながります。特に、一人暮らしの方やご家族の介護をされている方にとっては、心強いサポートになるとご好評をいただいています。ご興味がある方はぜひ一度ご相談ください。
地域で暮らす方々にとって、ふと「ここに相談してみようかな」と思えるような、身近で頼れる存在でありたいと思っています。お身体のこと、生活のこと、ちょっとしたことでも構いません。どうぞお気軽にご相談ください。
外来部長 田中啓広

在宅医療部長からのごあいさつ
住み慣れた自宅で、
ご本人とご家族が安心して過ごせるように
こんにちは。桜新町アーバンクリニック 在宅医療部長の五味一英です。
私は世田谷の地で生まれ育ち、この地域で生活する方々の少しでもお役に立ちたいと思い、在宅医療に携わる決心をしました。
当院では、世田谷区を中心に、24時間対応の在宅医療(訪問診療・訪問看護)を提供しています。患者さんが住み慣れたご自宅で安心して療養生活を送れるよう、医師・看護師・リハスタッフ・ケアマネジャー・相談員・事務スタッフが連携し、日々の医療を支えています。
当院の在宅医療は、持病の管理だけでなく、認知症ケアや緩和ケア、終末期医療にも対応しています。がん末期や老衰と診断された方の「自宅で最期を迎えたい」という希望にも、医療・看護・介護が連携して対応できる体制を整えています。
また、在宅医療では診療だけでなく、ご家族の介護負担の軽減も重要なテーマです。地域の訪問看護師や訪問薬剤師、ケアマネジャーと連携し、生活全体を見ながら医療・介護サービスを調整することで、無理のないご自宅での療養生活を支えています。
外来診療との連携も大切にしており、外来で通院されていた方が体力的に難しくなってきた際には、スムーズに訪問診療へ移行できるよう支援しています。また、外来・在宅どちらでも診られる医師が多いのも当院の特長です。
「医療のことはどこに相談したらいいか分からない」「介護が必要になったけれど、これからどうすればいいの?」——そうした不安を抱える方が、まず相談できる場所でありたいと思っています。
お身体のこと、日々の暮らしのことなど、どんなことでもご相談ください。
在宅医療を通して、地域で暮らす皆さまが安心してその人らしい日々を送れるよう、これからも支えていきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
在宅医療部長 五味一英