本、『人のさいご』を発行します

取り組み 2024.06.01

2024年6月、当院から一冊の本を発行します。
タイトルは、『人のさいご』。この記事では、制作の経緯や購入方法などをお伝えしていきます。

人のさいごに訪れる、自然な変化。
やさしく、ていねいに、

目を逸らさずに綴った小さな本。

この本は、「人のいのちがどう閉じられていくのか」という自然な変化について、当事者である本人を含む、あらゆる人が読むことができるように、言葉を選び、丁寧に綴った本です。
「前もってこの知識に触れておくことは、きっと大切な人と過ごす時間をかげがえのないものにしてくれる」。わたしたちは、そう願ってこの本を世の中に送り出します。

本がうまれた背景

かつて人々は病院ではなく家で死を迎えており、「いのちを閉じていく」という営みは暮らしのなかに息づいていました。対して現代では、8割近くの人が病院や施設で死を迎えています。それは、「人がどのように老い、いのちを閉じていくのか」という自然な経過を、暮らしのなかで学ぶことが難しくなったということでもあります。
この本は、日々看取りに向き合う在宅医療・ケア関係者が、患者さん方から実際に「人は死ぬときにどう変化していくのか」と問われてきた経験からうまれました。自分のいのちが閉じられていくことに気づいたとき、自らに訪れる変化を知っておきたいと願う人が多くいるのです。

本人が、読めるものを。

今まで、看取りの現場で医療者がご家族にお渡しするパンフレットはありましたが、本人に向けて言葉を選んで書かれたものはほぼありませんでした。でも、「知りたい」と思っている患者さんが確実にいること、現場で何度もそういった問いかけを受け止めてきた経験から、当事者である患者本人が読める本をつくる必要があると考えました。

実際に患者さん方にも読んでいただき、たくさんの助言を得ました。例えば、内容や言葉がわかりづらくないか、本のしつらえがどのようなものがよいか、といったことです。「筋力が落ちているから、大きくて重い本は読みづらい」というご助言から本のサイズや紙の選択をしたり、「自分のいのちが短いと知って、黒色はあまり見たくなくなった」という感覚を教えていただきイラストの色味のリクエストをしたり、「いよいよになるもっと前から読んでおきたかった。それができるように、若い人でも手に取れる本がいいと思う」という提案に基づいてデザインを考えてもらったり。最終的には、多くの方に「こういう本がほしかった」と背中を押していただき、完成に至りました。

知識をひらく、架け橋としての本

この本に書かれていることは、すべての人にとって「自分ごと」でもあります。けれど、生活のなかから消えてしまっていた知識を再び生活のなかに取り戻していくのですから、手に取りやすく日々の暮らしに馴染むような本の装丁がよいと考えていました。この本では、本田篤司さん(sekilala)によるデザインと、イラストレーターの水上多摩江さんが描く暮らしの風景によって、「ふつうの暮らし」と「いのちを閉じていく自然な変化」がゆるやかにつながれ、受け止めやすくなる本のかたちが見事に生み出されています。
ただ、死に関する知識を受け取るのは、受け手のタイミングや気持ちが重要です。「いつかは知りたいけど、今は難しい」という時期だってもちろんあると思います。そういったときは無理せず、「こういう本があるんだな」と頭の片隅に置いておいてもらえたらいいな、と思います。

中日新聞に掲載されました

2024年5月19日の中日新聞/東京新聞朝刊に、制作チームの尾山が執筆した『人のさいご』を紹介する記事が掲載されました。本の作成の経緯や、制作過程の出来事などがまとまっています。
ぜひご一読ください。

※新聞社の許可を得て掲載しています

購入方法

医療に従事しながら発送作業を行っておりますので、購入からお届けまで少し時間をいただきますが、確実に届けますのでゆっくりとお待ちいただければありがたいです。

「人のさいご」特設ホームページ
「人のさいご」購入ページはこちらから

お問合せ

「人のさいご」特設ホームページ内のお問合せフォームからお願いします。
本のご感想も聞かせていただけたら嬉しいです。

現在、以下のような問合せをいただいています。ひとつひとつ制作チームで検討し、お返事させていただきます。
・クリニックで大量に購入したい
・図書館で購入したい
・学校で「いのちの教室」を行いたい
・本屋で取り扱いが可能か
など

▼ 刊行案内

PDFはこちらをクリックしてください

発行:2024年6月
発行元:医療法人社団プラタナス 桜新町アーバンクリニック

仕様:A5サイズ/48P
価格:550円(税込)

デザイン:本田篤司
イラスト:水上多摩江
文   :尾山直子
校正  :浅野千恵

企画・制作:
桜新町アーバンクリニック在宅医療部
桜新町ナースケア・ステーション
 國居早苗(訪問看護認定看護師)
 林瞳(緩和ケア認定看護師)
 尾山直子(訪問看護師/進行・編集)
株式会社メディヴァ
 神野真実(ディレクション・編集)

印刷・製本:株式会社サンエムカラー

販売元:
医療法人社団プラタナス 桜新町アーバンクリニック
一般社団法人コミュニティ&コミュニティホスピタル協会

 

ページの先頭へ戻る