認知症施策」カテゴリーアーカイブ

英国大使館での認知症イベント

11月5日に、当クリニックの看護師の片山、作業療法士の村島、理学療法士の木内が、英国大使館での認知症イベント “Young leaders discussion for innovative ideas to address dementia”に招待され参加してきました。
このイベントは、2013年12月にイギリスで行なわれたG8認知症サミットの後継イベントで、カナダ、日本、米国、ヨーロッパの国々で行なわれているものです。
様々な分野において認知症に関わっている若手専門家から革新的なアイディアを創りあげ、今後の課題に取り組み続けるグローバルネットワークを作っていこうというものでした。
イベントの最後には、参加者で日本版の「若手専門家宣言書」を作成しました。
いろいろな視点を持った人々と議論をする機会となり、大変な刺激を受けました。
認知症は、日本だけでなく世界中での課題であるので、普段の患者さんやご家族との関わりのなかで、その課題を少しずつ解決できる手助けができていければと思っています。

木内英国大使館1  木内英国大使館2

木内英国大使館3  木内英国大使館4


認知症在宅ケアの新たな取組み ― 認知症初期集中支援サービスについて ―

老年精神医学雑誌2014年7月号(第25巻第7号)に、当院の認知症在宅ケアの取組みが掲載されました。

2012年に「認知症施策推進5か年計画(オレンジプラン)」が策定され、認知症初期集中支援サービスのモデル事業が開始されました。
このサービスは、認知症になっても本人の意思を尊重し、住み慣れた地域のよい環境で暮らし続けることが可能になるように、できるかぎり早期に本人と介護者に包括的な支援を行うというものです。

当院は世田谷区から委託を受け、訪問看護師を中心に活動しています。
また当該雑誌では、アウトリーチやチーム員会議の実践活動内容を中心に事業内容についても紹介しています。

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平成26年度の認知症初期集中支援事業が開始しました!

当院では昨年度から認知症初期集中支援事業を国から受託し、活動してますが、今年度の認知症初期集中支援事業が開始されました。
昨年活動した主なチーム員は医師2名、看護師2名、作業療法士1名と少数でしたが、今年度は医師4名、看護師7名、作業療法士1名と増員することで充実した支援体制を整えました。

今年度の事業が開始されて約2ヶ月経ちますが、看護師1人1人が支援対象者を理解し、考え、情報共有していくことで組織の成長にも繋がっていると実感する毎日です。
支援対象者は36名とまだまだ少ないですが、これからも国の将来を担っていくという責任感を持ちつつ、日々取り組んでいきたいと思います。

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〝そのとき〞〝その場〞での タイムリーなケア 実現への第一歩!

雑誌「訪問看護と介護」に当院の片山看護師の記事が掲載されました。
当院では、現在「オレンジプラン」による認知症初期集中支援チームのモデル事業に取り組んでいます。
当院の総合診療医と認知症専門医との連携を密にもち、認知症だけに注目するのではなく、医療面・生活面を総合的に支えるプライマリ・ケアの理念を共有し行なっています。

片山看護師はオランダで広く事業展開しているBuurtzorgの視察に行き、看護師が「介護」から「看護」までのすべてを担い、そのときに必要なケアをその場で提供していることに大きな感動を覚えました。
詳細に関しては、添付PDFをご覧ください。

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認知症ケアカンファレンスを開催しました!

先日4月18日(金)に当院で認知症ケアカンファレンスを開催しました。

当院医師の新川先生、作業療法士の村島さんからの認知症に関するそれぞれの職種の視点からのセミナー後、ワークショップをおこないました。
村島さんによる作業療法士の視点からのセミナー模様と片山看護師司会のワークショップの様子を以下に掲載しますので、ぜひご覧ください。

◆2014/4/18 認知症ケアカンファレンス「脳機能と認知症」(村島久美子作業療法士)19分

◆2014/4/18 認知症ケアカンファレンス「ワークショップ」(司会:片山智栄看護師)44分

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Sue Banerjee先生が来日しました

先週、イギリスの認知症国家戦略の第一人者であるSube Banerjee先生が来日した際に、当院の取り組む「認知症初期集中支援」の経過について、院長である遠矢純一郎先生が報告をおこないました。Banerjee先生は英国のメモリーサービスという今回の認知症初期集中支援サービスのモデルをつくり、米国やオーストラリアなどの認知症国家施策にも関与する国際的に影響力のある方です。

今回のディスカッションはオレンジプランと呼ばれる日本の認知症の新しい国家施策も含めて、日本の現状報告と先生からの評価を頂くことが目的でした。私たちも全くゼロの状態から手探りで始めた初期集中支援であるため、現在の関わり方やアセスメント、プランの妥当性などについて、先行する英国の取り組みとの比較なども是非お聞きしたいところでした。人員体制や支援の仕組みなど一連の流れを説明し、代表的なケースを挙げて具体的に支援の状況をおはなししました。

Banerjee先生は最後までじっくり聴いてくださったあと、まずは一言「Excellent!(すばらしい)」と評価してくださいました。そして以下のようにコメントして下さいました。

—from Dr. Banerjee—
なにより、こうしてサービスが開始されたことが彼女(今回の支援対象者)に
とってはとても良いことだし、それによって彼女の行動も変化している。
ここに至るまでの放置された5年間はとてもひどいものだっただろう。
こういうストーリーがとても大事。今後の取り組みや広げようとするときに
関わる人たちに良い影響を及ぼすだろう。

認知症の方への支援においては、どうやって本人を関わらせるか、という
ことはとても難しいこと。このケースでも、最初は拒否されていたけど、
何度も何度もあきらめずに、その方へのアプローチを続けたことで
結果的にフルアセスメントや夜間のヘルパーの導入に至っている。
私はそれで良いのだと思う。最初から全部は無理なので、
少しずつ少しずつ、関係性を構築していくことが、良い成果へとつながるだろう。

このケースの3つのポイントを挙げたいと思う。
その1)時間はかかったが、きちんと診断につながったこと。
これはとても重要なこと。
その2)家族に対して、今後の症状や予後についてちゃんと
説明していること。これによって後見人などその後の方向性が
導かれた。こういうadvanced care planをしっかりおさえる
ことが大事。とにかく当事者にそのための情報を与えること。
その3)どうやって初期の対象者をみつけるか。これはGPという
役割の居ない日本においては、正直どうしたらいいのかわからない。
救急外来などでそういう方が来院したらフラグを立てるとか?
あと大事なことは、市民啓発の結果、家族がそういう認識を持ち、
気づいてあげることが重要。

早期発見はもちろん大事だが、その後をどうするか。初期だけ関わる
というチームは、それはそれで必要だし、それで良いと私は考えるが、
その後をフォローしたり、急性期などに対応出来る仕組みも必要。
しかしそれはまだ先のこととして、まずはこの初期支援を充実させて
いくと言う方策はアリだと思う。
これから初期集中支援チームは、どういうペースで広げていくの?

>今年14、来年20、再来年には全国4000カ所の地域包括支援センターに配備する予定。by 粟田先生

4000だって?! それは20カ所からいきなり開きがありすぎる。
イギリスには70(聞き間違いかも?)の初期集中支援チームがある。
こういう専門チームは、数人程度の小規模が良い。そうでなければ
他の地域で同じものを作れなくなるから。小さいチームでやって、
それを2番目に伝え、3番目に伝え、、、していくうちに、広げ方がわかる。
人材育成?精神保健専門看護師(精神科外来などに居る?)など、
すでに精神科疾患への下地があるような職種やスペシャリスト、つまり
「もう少し学べば、認知症対応も出来る」くらいの職能の方を使えば良いだろう。

国際的にも注目されている英国の認知症ケアに照らし合わせて、私たちの取り組みをきちんと評価して下さったことを嬉しく思いました。一方で、日本はいまだに精神科病棟が35万床もあり、認知症の方が入院となるケースが増えていることや、認知症の診断の多くが専門医によるMRIなどの高度検査をルーチンとしている現状に対して、「それはとてもコストのかかるやり方だ。限りある財源のなかで、どこにそれを振り分けるかを考えるべきだ。」とも訴えておられました。

今後も認知症政策に関する話題を取り上げていきたいと思います。

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「認知症初期集中支援チームの取り組み」について講演しました

せたがや福祉100人委員会「最後まで在宅」部会主催の公開学習会で、「認知症でも最期まで地域で暮らす」というテーマのもと、当院の作業療法士である村島さんが講演してきました。
初期支援といっても、性格や人生が人それぞれあるように、支援の内容も対象の方に合わせて少しずつ変えなければいけません。実はそこが一番難しいところ。
今年度のモデル事業(認知症初期集中支援)もまだまだ続いていきますので、より良い支援ができるよう、頑張っていきたいと思います。


認知症初期集中支援の全国的取り組み

当院では、厚生労働省から委託を受けるかたちでモデル事業として認知症初期集中支援を実施しています。厚生労働省は、9月2日、2013年度の認知症初期集中支援チーム設置促進モデル事業を行う市町村を発表しました。

認知症初期集中支援チームは、2012年9月に厚生労働省が公表した認知症施策推進5ヵ年計画「オレンジプラン」において示された施策のひとつ。看護師や作業療法士などの専門家からなるチームを地域包括支援センターなどに配置し、認知症やその疑いのある人を家庭訪問し、症状の程度の確認や必要なアドバイスを行うことで早期の診断や治療につなげ、対象者や家族を支援することを目的としてます。2012年度はモデル事業のスキーム検討を行い、2013年度と翌2014年度にモデル事業を実施。2015年度以降はモデル事業の実施状況などを検証し、全国普及のための制度化を検討することで予定されてます。

2013年度にモデル事業を行うのは、北海道苫小牧市、宮城県仙台市、山形県白鷹町、福島県福島市、群馬県前橋市、東京都世田谷区(当院)、福井県敦賀市、長野県長野市、京都府宇治市、兵庫県神戸市、岡山県新見市、山口県宇部市、熊本県荒尾市、鹿児島県南大隅町の14市町村。

認知症初期集中支援チーム設置促進モデル事業の概念図を載せますので、興味のある方は是非ご覧下さい。
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認知症初期集中支援チームの活動-担当医師と看護師に現況を聞く-

「Visionと戦略」 2013.10月号に当院の認知症初期集中支援チームの活動が取り上げられました。
当院医師の上野秀樹先生と片山智栄看護師のインタビューが掲載されてますので、是非ご覧ください。

上野秀樹医師「チームだけでは支えきれないモデル事業でケアの標準化へ」
片山智栄看護師「初期集中支援チーム員研修で見えた手探りの現況」

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