Coffee breakなお話

特別な柚子でのつながり

2020/12/30 年末最後の往診の際に、在宅患者さん宅の庭で採れた柚子をたくさん頂いた。少し前にたわわに実ったその木を眺めながら「あれはいいジャムができそうだなあ」という僕の呟きを覚えていてくださったのだ。もぎたてで香りの良い柚子だったので、休みに入って早速ジャム作り。
ひとつ5cmくらいの小ぶりな柚子なので、その分処理が多くて、思ったよりも手間がかかったが、絞るとその大きさからは想像できないくらい果汁が溢れてくる。千切りにした皮を苦味を取るために何度かゆでこぼし、果汁と種、グラニュー糖と蜂蜜を入れて煮込むと、種から出るペクチンで徐々にとろみが付いてくる。15分くらいで火を止めて完成。早速炭酸水で割ってみたら、とても爽やかで美味しい柚子マーマレードになっていた。きっとこの柚子が特別なのだろう。
このご家族とはもう5年以上のお付き合いになる。最初は60代のご主人の在宅がん緩和ケアで伺うようになり、ご自宅でお看取りとなった後、同居の90代のお父様への在宅医療をお願いされた。そのお父様もこの一年でめっきり老衰が進み、日中も寝て過ごすことが増えてきた。ジャムがたくさんできたので、年明けの往診の際にお礼に持っていこう。やがて医療での関わりが無くなっても、この特別な柚子でのつながりを続けていきたいな。

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